楽しい。

こういうのがぽんと売ってるから学生街の本屋は好きです。

よしながふみ対談集 あのひととここだけのおしゃべり

よしながふみ対談集 あのひととここだけのおしゃべり

日曜に購入後、一気に読破。たいへんたいへん楽しかった。このところについて私はこう思ったのー!!というキャーキャーニコニコした感想を書きたくて仕方が無いのですが、そういう食いつきポイントが多過ぎてどこから書いたらいいのか全くわからない。とりあえず箇条書き程度に。


以下結局ほんとに「感想」です。ねたばれぽいので読む予定の方は避けてください。




冒頭のちょっと昔の少女マンガ話では、鼎談中で触れられる作品を初めて読んだときのことを思い出したり、知らない漫画のお話にときめいたりしました。(※タイトルは聞いたことあるけど…とかではなくて、ほんとに、作者名もマンガ名も初めて聞いた漫画とかあって!!!)そもそも私、高校卒業するまで萩尾望都さんのお名前も知らなかった口なので、24年組前後はまだまだ未読の宝の山です。三原じゅんも未読。あと時代ズレますが、くらもちふさこ未読。いくえみ綾未読。そしてまさに対談をしているやまだないともちゃんと読んだことが実は無くて。わーいもうこれこの鼎談だけでも相当な漫画ガイドになるぜ。楽しみだ。あと一条ゆかりのスラム●ンク漫画夜話での話に衝撃を受ける。あの人ほんとうにすごい。素敵。


BL史みたいなものを語ってらっしゃる部分は、明らかにその一部が私の自分史と重なるので複雑且つおもしろかった。三種の神器『絶愛・絆・炎の蜃気楼』に爆笑。通りましたとも。今のBLにつながる「一億総ホモ」の世界をえみくりが作ったというお話に何だかすごく納得し、河惣益巳こだか和麻にありがとうを言ったというエピソードが何だかちょっといい話っぽくてよかった。私はまだどこかでBLが書店の漫画コーナーにおいて全面平積みになる世界、というものに抵抗感のある側のフジョシなのですが(てゆかそんなにBL読んでないと思うので言えた義理でもないんだが!)、新しい秩序が出来ていったことが、それまでずっとそうでない状況で描かれていたお話にも影響を与えた、というのが何だかすごく面白かった。時代は本当に予想もしない方向に動くもので。ツーリングEXも後半ちょろっと雑誌立ち読みしかしてないので今度読も!


以前に川原泉よしながふみの対談*1でも見かけたこの「日米最大の宗教は恋愛」というフレーズが何度読んでもなんてゆーか、スカッとする。最近身の回りで、本当の本気でこの人たち(男女問わず)私にそーゆーことを聞くんだ!うわー漫画みたーい(どうかと)、ということがあったせいもあるのか。と言うか、近年になるまでそういうことに関するズレを認識してなかった自分がおかしんじゃないかとも思う。鈍く緩く出来ております。言われてみればオタク友達じゃない子とするお話って恋愛話が多かった小学校の頃からそう。けれど私はその女の子が恋愛に走る原因が女の子に読まれている「恋愛メインの少女漫画」の方にあるのかと思っていたので(私の中では何もかもがとりあえず漫画で解決をみましてすいません)ちょっと混乱しました。需要から供給が生まれ供給が需要を生み出すという意味で鶏タマゴな話ではありますが。


この対談の中で言う「男同士でなくてもやおい」というその『やおい』の使い方そのものには馴染めませんが(中学の頃からこれはずっと自分の周囲では今で言うBLをさす隠語だったので)言ってる意味はわかると思いました。それは確かに私も好きだ。「孤独と連帯」とはうまいことを言う!


志村貴子との「表現は選択できない」お話もたいへん興味深かった。私実は一冊通して志村貴子を読んだことってまだ無いんですが(立ち読みでちょろちょろはある)通して何か一冊読みたくなった。読み解く努力もエンターテイメント、はなんだか嬉しかった。そうですよそれは楽しいのですよ!!なんだかわからないけれど何だか面白い気配がする、という漫画をなんとなく何度も読み直しているとき、ふいにチューニングがかちりとはまる感じがあって、それがいつもほんとに楽しいです。まああくまで脳内での調整で答え合わせができることではないので、どこまでが妄想でどこまでが読み取る努力をした結果か、というのが判断のつきませんで、それはそれで怖いのですけれど。読んでる間は人には害がないからいいけど!わたしすぐ人に喋りたがるからな!


最終の萩尾望都との対談はまた他のものとは別の意味で楽しい。どちらもパッションを炸裂させて語るタイプでなく、すごく理路整然と持論(漫画に関する)を語るタイプであるらしく、それが楽しい。読んでると頭がよくなったような気になります。短編『偽王』(だいすき!)と長編『残酷な神〜』のグレッグぱぱについての言及が面白かった、てゆかなんかそれぞれ違う意味ですごかった。あと時夫がとても好きなので『バルバラ異界』に触れてるの嬉しい(話が地滑り)。



以上、ブツ切り感想ですがこのあたりで。しばらくずっと読んでる予定です。面白いです。

*1:この対談集には未収録。でもそゆのもいっぱいあるみたいですね。どれだけ対談しているんだよしながふみ