色々

感想書いてなかったちょっと前のものなども。
追記
ルネッサンス吉田氏の複製原稿展示?が池袋ジュンク堂地下1階で開催中(〜12/11)。とりあえず下描きの鉛筆と白ヌキのホワイトが生々しうございました。


シュトヘル 2巻

シュトヘル 2 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

シュトヘル 2 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

面白いです。シュトヘルの抱える虚無。それに強く惹きつけられるアルファルド。己のすべきこと知りつつ目の前の現実を自分なりに消化しようとするユルール。ユルールを守るボルドゥ。ユルールを追うハラバル。馴染みのない舞台なのに人が皆魅力的で面白く読めます。力が尊ばれる世界に現れた新しい物差し、『文字』を介した何か。文字があるのが当たり前の世界にある人間としては、初めて文字に触れた人の感動が伝わるようで新鮮です。漢字と異なるルーツの西夏文字自体にも興味が湧く。一巻のユルールの文字へのこだわりからシュトヘルとの繋がりが生まれたことに、素直にじんとしました。


あと蛇足。個人的にはハラバルとユルールの兄弟が。ほんとに。次回の気になる引きでしたが、兄弟対決があるのは確定なので今から死ぬほど楽しみにしています。



将国のアルタイル 5巻

将国のアルタイル(5) (シリウスKC)

将国のアルタイル(5) (シリウスKC)

将姫(ハヌム)アイシェにノックアウト。可愛すぎる。上から目線万歳。表紙は主人公(マフムート/男の子)です念の為。キャラ萌えはさておき!トルキエ将国を中心とする大トルキエ体制(ビルリキ・トルキエ)を説明しつつ、帝国のルイ大臣の搦め手が少しずつ見えてくる。ザガノス将軍の「まともな国家は賭けなどしない」のあたりでぞくりとした。汚れ仕事を引き受けたマフムート。大きな政治や外交の話の中でひやりとしながらも、そこで生きる個々人の意志が感じられるのがとても楽しい。マフムートと対峙する度に身体の一部が欠損してゆくロットウルムのおねーちゃんの今後が非常に気になります。



からん 3巻

からん(3) (アフタヌーンKC)

からん(3) (アフタヌーンKC)

表紙が欺瞞。双子ちゃんが愛らしすぎて誰だかわからぬ(笑)。何の漫画と言えば女子高de柔道!な漫画なのですが、描かれ方が特徴的なのでどう説明したらいいか悩みます。入学式からまだ多分数日もしくは数週間で既に3巻。0話のライバルと出会ったり競ったりするにはまだまだ時間がかかりそう。しかしこのじっくり感が楽しい。だいぶキャラクターが見えてきましたが、主人公の高瀬雅がとてもよいです。人から一歩引いたところで、団体の人間関係を積極的に分析して、介入して、そうとわからず調整しようとする様が、軍師というかある意味催眠術師のよう。どこまでうまくいくのか、興味深いです。



薔薇の瞳は爆弾

薔薇の瞳は爆弾 (ビーボーイコミックス)

薔薇の瞳は爆弾 (ビーボーイコミックス)

ヤマシタトモコブーム中。BL短編集。表題作に爆笑。タイトルが阿呆な漫画をちゃんと阿呆に仕上げる胆力に感動します。かと思うと他収録作品には読むだけで深刻な気持ちになるようなのもあって(『さようならのお時間です。』)BLはこういうところ節操なくてよいです。言葉を変えればというか懐の広さとも。『絶望の庭』が好きでした。



恋の話がしたい

恋の話がしたい (マーブルコミックス)

恋の話がしたい (マーブルコミックス)

ブーム中なのでまとめ買い。表題作は短期連載もの。怖かったり嬉しかったりするレンアイ楽しそうで何より。こういう肌触りはこの人のホモ読んでもヘテロ読んでもあんまり変わらないなあと思いました。言葉のかけ合いが楽しい。度々描かれるドMの人々のおかげで、鵜呑みにするのはよくないぜと思いつつ、SMのイメージが明確に変わりました。



甘えんじゃねえよ

甘えんじゃねえよ (EDGE COMIX)

甘えんじゃねえよ (EDGE COMIX)

祝発売。短編集。感想とは言っても具体的なことは何一つ書けません。成人指定あるそうなのでご注意。同名の吉田戦車さんの漫画があるようでこれもオマージュなのかな。


引用やオマージュの多い漫画ではあって、それも本当に楽しいのですけど真骨頂は小説かと思うような大量のモノローグを読んで頭がわんわんするところと思います。理路整然とした風でリズムよく語られる言葉に、引きずられるような気分になる。絶望だと感じるその『気分』をこんなに明確な言葉で読む機会もないだろう。言葉づかいも楽しい。日に何度も読んでいると単純に言い回しを真似たくなるような幼稚な衝動が生まれる。「とても経済がいいのだ」とかもう普通に明治か大正か昭和前期かという。読んで意味はわかるので、正しい文脈があれば言葉は生き残るものだなあとか思う。論点が違う。


ひどい状況に変わりはなくても、笑える短編は本当に笑えてしまうのもすごい。
一応BLなのでご注意。でもここまで来るとジャンルは別に関係なさそう。
描き下ろしの一つ、『不在者の誕生』の最後の文句がとても好きだ。